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【95点】「アナイアレイション 全滅領域」超徹底考察【Netflix】

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この記事はたぶん 16 分で読めます。
ぱっかん
執筆者:「ぱっかん(@pakkan316)」見る映画の9割が洋画です!

Netflixで「アナイアレイション -全滅領域-」を鑑賞した。
2018年にアメリカで公開された映画だが、映画配給会社が「もっと万人受けする作りにしてくれ」と依頼を出すも、監督であるアレックスガーランドがそれを拒否。
その結果配給会社がアメリカ以外での映画権を手放したという経緯がある。
そして映画権をネットフリックスが買い取ったことで、アメリカ以外では映画公開ではなくネットフリックスで配信されることとなった。

2014年に原作となる同名小説が出版されているようだがそちらは未見。
映画はすこぶる面白かったので感想と評価を書く。

既にたくさんの考察記事があるが、ほとんどの記事でアレックスガーランド監督の前作エクスマキナの内容がちょいちょい挟まってて焦る。(エクスマキナも近いうち見ようと思うので)

僕はエクスマキナ未見なので、当記事では一切そのことには触れていない。
ご安心を。

ただし、アナイアレイションについてはネタバレ全開なのでお気を付けを。
※個人的にはネタバレなしで見た方が絶対に面白い映画だ。

※当記事は
「アナイアレイション 感想」
「アナイアレイション 評価」
「アナイアレイション 考察」
などのワードで検索される方におすすめです。

作品情報

公開年 2018年
原題 Annihilation
上映時間 115分
製作国 イギリス・アメリカ合作
監督 アレックス・ガーランド
脚本 アレックス・ガーランド
ジャンル SF
主要キャスト ナタリー・ポートマン
ジェニファー・ジェイソン・リー
ジーナ・ロドリゲス
テッサ・トンプソン
ツバ・ノボトニー
配信サイト・媒体 Netflix独占(アメリカ以外)
※記事公開時の情報です

アナイアレイションのあらすじ

この世界にはエリアXと呼ばれる謎の空間が存在しており、数多の人々が調査に向かったが、誰一人として生還した人間はいなかった。そんなある日、エリアXから生きて帰ってきた男が現れた。しかし、彼は瀕死の重傷を負っており、内部で何があったのかを聞き出せる状態にはなかった。彼の命を救うべく、妻のレナはエリアXの探検隊に志願した。レナ一行はエリアXの奥地に向かって進んでいったが、空間内部に広がっていた世界は想像を絶するものであった。

エリアX = シマーだ。
本作は「1年間行方不明だったレナ(ナタリーポートマン)の夫であるケインが突然帰ってくる」というところで観客を惹きつけつつ冒頭に入るが、夫の記憶が非常に曖昧。

更に吐血という描写も相まって、「ケインはなんらかの病気で、かつ記憶喪失だ」と思わせる。
この辺りは後程語りますが、粗筋はこんな感じだ。

アナイアレイションの登場人物整理

レナ – ナタリー・ポートマン: 生物学者

アナイアレイション 全滅領域:レナ - ナタリー・ポートマン: 生物学者。
本作の主人公
陸軍に7年在籍しており戦闘能力もそこそこ高い。
しかし戦闘シーン自体が無いので、メリットとしては「銃の扱いに長けている」程度である。

生物学者で、「シマー」の内部での異変の正体についての理解度が最も高い人物である。

ヴェントレス博士 – ジェニファー・ジェイソン・リー: 心理学者

アナイアレイション 全滅領域:ヴェントレス博士 - ジェニファー・ジェイソン・リー: 心理学者
高潔で冷静。
この手の映画で登場するこういうクールな人はたいてい性格が悪い。
しかしヴェントレス博士は割と理解ある人で、そこまでつっけんどんではない。

実は癌を患っており、それが本作のシナリオにも大いに影響を与えている。

アニャ・ソレンセン – ジーナ・ロドリゲス: シカゴの救命士

アナイアレイション 全滅領域:アニャ・ソレンセン - ジーナ・ロドリゲス: 人類学者
剃り込みを入れた兵士。

自己紹介時に

「私はここ(サザンリーチ)に来てー・・・10か月?うわもうそんな(笑)シカゴの救命士。NGOに応募したらサザンリーチに引っ張られた(笑)」
と言っている。
Wikiには人類学者と記載があるが、これは原作での設定かもしれない。

ちなみにサザンリーチとは、シマーの研究のために設置された基地の名前である。

ジョシー・ラデク – テッサ・トンプソン: 物理学者

アナイアレイション 全滅領域:ジョシー・ラデク - テッサ・トンプソン(木下紗華): 測量技師
あれ?Wikiでは「測量技師」と掲載されているが、これも原作での設定かもしれない。

作中では「私は(サザンリーチに来て)2か月。物理学者。ケンブリッジで博士号を取得してここへ。」と言っている。

本作において、SF設定に対する理解度が3番目に高い人物。
1番目はもちろんレナ。
2番目はヴェントレス博士。

キャス・シェパード – ツヴァ・ノヴォトニー:地形学者

 

アナイアレイション 全滅領域:キャス・シェパード - ツヴァ・ノヴォトニー: 言語学者

レナと最も心を通わせていたメンバー。
娘を白血病で無くし、それが原因で病んでいる。

クマに襲われたついでに「喉笛」をコピーされている。

Wikiでは「言語学者」ということになっているが、これも原作での話か?

ケイン – オスカー・アイザック: レナの夫

アナイアレイション 全滅領域:ケイン - オスカー・アイザック: レナの夫
軍人。
妻であるレナには内緒で「シマー」の内部に入るミッションに参加。

ロマックス – ベネディクト・ウォン

アナイアレイション 全滅領域:ロマックス - ベネディクト・ウォン
回想シーンが入り乱れる本作にて、
最新の時間軸でレナに尋問(というか質問か)する人物。

ベネディクトウォンという名前を聞いてビックリした。
ガーランド監督が脚本を務めた作品「サンシャイン2057」でもベネディクトが出演している。

そういえばサンシャインと本作もどこか通ずるものがあるな。(最後に詳細を書く)

アナイアレイションの魅力

本作は地味に高い評価を受けている。
普通に娯楽作品として見ても面白いのだが、個人的には以下の点を気に入っている。

アナイアレイションの魅力①造形:チェルノブイリのような廃墟

アナイアレイション 全滅領域:造形:チェルノブイリのような廃墟
これはチェルノブイリの写真
アナイアレイション 全滅領域:アナイアレイションのセット
アナイアレイションのセット

本作の舞台となる「シマーの内部」は隔離されているため当然人はおらず、しかし植物たちはイキイキと生い茂っている。

また、原因は不明だがおそらくエイリアンが仕組んだ物質により、シマー内のあらゆる物質は常に変異し続けている。

作中では「病変」とか「突然変異」という言葉が使われている。

病変とは。
病気になることによって起こる、心身の変化。

引用:病変(ビョウヘン)とは – コトバンク

本作の舞台であるシマーと、その中で起きている動植物達の「突然変異」。
これは制作陣が「チェルノブイリ」を意識していると思えて仕方が無い。

僕は昔から廃墟が好きで、廃墟の写真集を何冊か持っている。
その中には「チェルノブイリの廃墟」のみにフォーカスした写真集もあり、アナイアレイションの景色を見るとその「チェルノブイリの廃墟感」が強く思い出される。

特にプールのシーンなんかそうだ。
チェルノブイリの写真で有名なプールの写真。

アナイアレイション 全滅領域:チェルノブイリのプール
(「Call of Duty4 Modern Warfare」をプレイした人は既視感があるかもしれない。)
 

そして本作アナイアレイションに登場するプール

アナイアレイション 全滅領域:本作アナイアレイションに登場するプール
本作アナイアレイションに登場するプール

明らかに意識している。

また、放射能地帯ではあらゆる植物が突然変異しているという事実もある。
この辺りもアナイアレイションのテーマと似通っている気がする。

第一本作の序盤で「放射能の影響?」というセリフも出てくる。

本作の「生い茂った緑色の茂と、朽ち果てたグレーのコンクリート」がメインのビジュアルは純粋に好みであるため、個人的に評価の高さに繋がっている。

アナイアレイションの魅力②「前任の調査隊の行方」というミステリアス要素

僕が大好物な設定である。

”先に未開拓地帯に突入し音信不通になった部隊がいる。主人公達のミッションは彼らを見つけること”

SFホラーの定番でもあるが、この手の作品はストーリーが進むにつれ手がかりが増えてくる。
しかしその実態がまだ分からないウチは不気味さがどんどん増していくというおいしさがある。

 

他に似たような設定で思いつく作品は、

・イベントホライズン
・サンシャイン2057
・スフィア

辺りである。

前任のチームが
”後から来る者たちへ”
とラベルに書いたメモリーを残しており、それには動画が入っている。

そういう「手がかり」を見るシーンの不気味さ、ワクワク感はマジでソソる。

「何が起きたか分からないけど、それを伏線としてどんどん解決していくサマ」はカタルシスも感じる。

アナイアレイションの魅力③クリーチャーの不気味度が高い

本作の美術担当は素晴らしく良い仕事をしている。
緑の中に咲く突然変異の花たちは確かにキレイだが気持ち悪い。

極めつけは「クリーチャー」である。
本作ではボス級のクリーチャーは1体しか出てこない。

だ。

その熊が登場人物の一人を殺し、そいつの声をコピーして「助けて―」と不気味に鳴くのだ。

大型動物らしい重低音の唸り声の中で響く「助けて―」という女性の声は本当に不気味である。
また、「コピーされている」というところでの気持ち悪さも凄い。

「真似されたらなんかムカつく」という心理は、もしかしたら遺伝子レベルで組み込まれているのかもしれない。
だから自分のコピーをもちろん見たくないし、アナイアレイションのように、「明らかに本物じゃない熊の声」に関しても強烈な不気味さを感じるのだと思う。

 

元仲間の声で「たす・・・けて・・・」と言いながら絶命する瞬間も最高に気持ち悪かった。

アナイアレイションの魅力④「ケイン」というミスリードを誘う存在

序盤でケインが登場した時、妻であるレナに向かって「君に見覚えがあった」と言う。
ここで僕は「なんらかの理由で記憶喪失になった」と考えた。
鑑賞者のほとんどがそう考えたと思う。

しかし最後の最後。
半ば「ドンデン返し」的な感じでケインはクローンだったと暴かれる。

”期待してない時のドンデン返し”はなんでこう嬉しいのだろうか。

アナイアレイションの考察

本作は「SF」である。
SFである以上「哲学的メッセージ」も含まれており、また、作中では説明されず、独自の視点で解釈するしかない点も多くある。

であれば考察してみるしかない。

「シマー」とはなんだったのか?

シマーは英語の「shimmer」のことで、「ちらちら光る、きらめき」という意味です。

引用:シアーとシマーとは? | コスメの素朴な疑問 | 化粧品・コスメ通販のアイビューティーストアー

引用元が化粧関係のサイトなので説得力に欠けそうな気がするが、シマーとはきらめきという意味らしい。
作中では「ドームのように一部地域を囲う壁」のことをシマーと呼んでいる。
見た目通りの呼び方だと思う。

作中では、シマーが何故登場したか、なんの目的を持っているのかが説明されておらず、おそらくそのせいで一般評価が低くなっている。

他の考察記事などを見て僕も納得したが、シマーの目的は恐らく「人類の進化を促すこと」ではなかろうか。

シマーの中ではあらゆる物質の変異が早くなっている。
それにより突然変異を繰り返し、植物たちは同じツルから違う花を咲かせたり、動物たちは違う遺伝子と交配できたり、人の遺伝子が驚くほどのスピードで変化し、果ては”分裂”ができるようになっている。

だから、深く考えていないないので申し訳ないが、シマーは進化を促すための存在と考えるのが自然だと思う。

シマー進入直後の3日間の記憶が無いのは何故?

唐突に「テントを組み立てた記憶がない」
「食料の減り方から察するに、シマーに来てから既に3日が経過している」という展開は非常にミステリアスで一気に鑑賞者を惹きつけることに成功したが、ではなぜ3日間の記憶が無くなったのだろうか

 

作中では説明が無かったので考察してみる。

恐らくだがこの3日間は、突然変異の物質が彼女たちの体に浸透し、変異への準備期間だったのではと考えている。

シマー進入後彼女たちの体は徐々におかしくなっていくが、何かに感染したような描写は特に無いので、やはり進入から徐々に何かに蝕まれていたと考える方が自然だ。

人はインフルエンザなどで高熱を発症すると、時間の感覚がおかしくなる場合がある。
「シマー進入後3日間の記憶が無い」というのも、「体の変異が一番激しかった期間」だったからなのかもしれない。

「自滅願望」の意味

心理学者のヴェントレス博士はレナに向かって「あなたは自殺と自滅を混同している。ほとんどの人間は自殺ではなく自滅している」と放つ。

喫煙したり、お酒に溺れたり、自分の腕に切り傷を付けたり、ほとんど全ての人類が自傷行為の経験がある。

主人公達もそれぞれ破滅願望があり、それが本ミッション参加への心理的トリガーとなっている。

アニャは過度の飲酒
ジョシーはリストカット
シェパードは娘の死
ヴェントレス博士は自らの癌

 

レナは夫の現状と自らの”自責の念”(後述)

本作でも説明があるが、「人生が好調の人がこんなミッションに参加するはずがない」ということである。

さて、「癌」についてだが、癌というのは細胞が分裂し増え続ける病気である。
人の体は傷口を塞ぐ際等にも細胞分裂が積極的に行われるが、癌は人の体に悪影響を与えるほどまでに細胞が増え続ける。

シマーの内部でも、癌のように無理やり細胞分裂を促し、生き物の進化を促進していると僕は考えている。

エイリアンが何故進化を促しているのかは不明だ。

本作のメッセージとして、「自滅に向かうこと」が進化に必要だと言っているのかもしれない。

アマヤ要塞(FORT AMAYA)の食堂で、壁に張ってあった名前の中に消されているものがあった

上から
PAYTON
MAYER
KANE
SHELLEY
TAYLOR

と書いてあり、MAYERとTAYLORには横線が引いてあった。

 

「なぜ消されてる名前があるの?」とジョシーが尋ね、シェパードが「決め付けるのは辞めましょう」と言う。

そしてレナが「思ってる通りかも」と宣言する。

言いたい事は明らかだが、一応具体的に明示されていなかったので解説すると、消された名前 = 死んだ兵士、と捉えるのが自然だ。

ビデオの中で腹を切られた兵士が、プールで巨大化していた

アマヤ要塞に置いてあった「後から来る者たちへ」と書かれたビデオテープ。
その中の映像で、ケインが仲間の兵士の腹を切り、その体内で何が起きているかを見せつけていた。

そして腹を切ったナイフを足元の水に落とすところまで収録されていた。

ビデオのシークエンスの後、レナ達はヴェントリーに付いていくようにしてプールに向かった。
あの、今作最大級に気持ち悪い「内臓から肥大化した”人間だったもの”」の死体がある。

ジョシーがそのプールでナイフを拾う。
それがさきほどのビデオテープで使われていたナイフだ。

そして立ち位置等から、さっきの腹を切られた兵士が、今の目の前の死体であることが推測できる。

何かの事情で、彼にだけ変異がすさまじかったのかもしれない。

レナの左腕のタトゥー

最新の時間軸でレナは、
「不自然な固体や、全く同じ個体が現れて・・・」
と言いながら、自分の左腕の八の字のタトゥーを見る。

 

その直後にまたシマーの時間軸に戻るが、レナはボートを漕ぎながら痛そうに左腕の内側をさする。

そこにまだタトゥーは無い。(観客に明らかにタトゥーの有無を意識させようとしている)

続けてレナは、「ワニが出た時にぶつけたのね(直前にワニと交戦した)」と言いミスリードを誘うが、このアザはタトゥーの前兆である。

この8の字のタトゥーは「ウロボロスの輪」と呼ばれるもので、ウロボロスは「死と再生」「不老不死」「自己再生」などの象徴である。

そしてこのウロボロスのタトゥーは、元々アニャ(剃り込み入れた救命士)に彫ってあったものだ。(推測)
それがなぜレナの腕に移ったのか?

推測だが、レナが尋問されている時間軸で、「不自然な固体や、全く同じ個体が現れて・・・」というセリフがヒントになっている気がする。

「全く同じ個体」
これがキーではないだろうか。

シマーの中では突然変異が過ぎるため、自分のコピーが出来てしまう事もあるし、人間が植物になるように、他の生物の特性を自分に取り入れてしまうのかもしれない。

 

かなり突飛した考えだが、熊がアニャを襲った直後に今度はレナに襲い掛かったため、その時にアニャの血液がレナに付着し、何かしらを移されたのではと私は考えている。

20180331追記:
と思っていたが、タトゥーの前兆はアニャが死ぬイベントの前からあったのでやはり違うっぽい。
エイリアンがレナやケインを模倣したように、レナもアニャを模倣しただけなのかもしれない。

レナと黒人学者との不倫描写の意味

最初は、喪主となりかけたレナを口説き落としてベッドインしたかのような描き方だったが、最終的には、ケインが健在だった頃からレナと黒人男性が不倫していたことが明らかになる。

そしてケインはこれに気付いていたため、それが「自滅願望」となりシマーへのミッションに参加したのだ。

また、レナの不倫そのものも「レナの自滅願望」ということになる。

「好きだから不倫したんじゃないの?」という見方もあるが、個人的にはそうじゃないと思う。

本作のテーマでもある「進化のためには破滅が伴う」ということを体現しているのではないだろうか。

シェパードの「助けてー!」をコピーした熊

初見では、インコのように鳴き声をコピーし、それを使って人をおびき寄せていたように思えた。
しかし別の考察記事を見て腑に落ちることが書かれていたので、それを見て納得した。

 

熊は、シェパードの喉を吸収し、その仕組みを取り込んだから声をコピーできたのだ。

その証拠に、レナがシェパードの死体を見つけた時、喉の部分がしっかり抉れていた

また、熊がアニャを殺した時、その時もアニャの喉を抉った。
その直後から「助けて―」の声がアニャに変わった気がしたが、これは気のせいだろうか??

ヴェントリー博士は冷酷で現実主義

言わずもがなではあるが、ヴェントリー博士は凄く冷酷である。
ジョシーがワニに引っ張られた時に唯一助けに行かなかったし、シェパードが熊に連れていかれた時もフェンスまで足を運ばなかった。

単純に怖かったのかもしれないし、「自分まで危険な状況に行く必要は無い」と考えていたのかもしれない。

実際、そこで我を忘れて仲間を助けに行って共倒れになったら元も子もない。

ヴェントリー博士は仕事に忠実な人間という設定もあるし、癌を受け入れている為「生き延びたい」という欲求があるとも思えない。

よって、「ミッションを遂行する為に身を引いていた」と考える方が自然だ。

 

この冷静さは良い意味でサイコパスっぽい。

サイコパス程「実業家」に向いている?「成功型サイコパス」の特徴 | ぱっかんブログ

ジョシー(眼鏡の物理学者)はどこへ行ったのか?

「ヴェントレスが望んでいるのは会う事。あなた(レナ)は対決。でも私はそのどちらも望んでいない。」

と言って消えていったジョシーはどうなったのか?

彼女が消える間際にリストカットの痕を魅せるシーンがある。
傷跡が一部緑色になっていた。

去り行く後姿から、皮膚から植物が生えだしているのが見える。

そして彼女は、中盤以降から現れるセットの一部である「人型の植物」になり果ててしまったことが分かる。

 

筆者は恥ずかしながら二回目の鑑賞でこのことに気付いた。

ジョシーはあの時、何かを悟ったようなテンションだった。
シマーの中で、「進化のために何かの一部になること」を望んだのかもしれない。

エイリアンの目的はなんだったのか?

彼らはなぜ地球に来て、なぜ変異を促すシマーという空間を作り上げたのか?

その答えは作中でレナも言っています。

「分からない。」

尋問中のレナは、結構たくさん「分からない」というワードを使っている。

「なぜ襲われた?」
「宇宙人の目的は?」

という質問にも、かなりあいまいな答えしか言ってない。

原作未見なので詳細は僕も分からないが、おそらく作者も目的までは決めていないのだろう。
(少なくともアレックス監督は)

 

この設定に関しては、「The Thing(邦題:遊星からの物体)」というSFホラー映画のセリフが参考になる。

Thingの中で、「奴らは何のために地球に来た?」というセリフがあり、主人公のマックはこう答える。

「奴らの常識なんて、俺たちに分かるはずないだろう?」

最後のレナは本物だったのか?

「ケインじゃないのね?そうでしょ?」
「あぁ。そうだよ。君はレナか?」

これが本作最後のセリフだ。
レナは何も答えることなくエンドロールに入る。

何故何も答えないのか?
それはレナが、「自分が本物かどうか分からない」からだと思う。

答えないというより、答えられなかったと考えている。

エイリアンとの戦闘シーンでは、レナは明らかに本物だった。
人間らしい目つきや呼吸による肩の上下運動など、過剰なまでの演技がそれを物語っていた。

しかし最後、レナの目がまるでシマーのエフェクトように光る。
ケインのクローンも何かほくそ笑んでいるように見える。

「シマーが消えた後にケインの体調が良くなった」という設定も怪しい。

どちらかと言うと、シマーが消えたというより「シマーが世界中に広がった」と考える方が自然な気もする。

 

そうなると、「地球を侵略できる」という計画が進んだという理由で、ケインのクローンがほくそ笑んだという理由付けができる。

だとするとバッドエンドだし、「地球侵略」という設定はなんか一気に軽くなった気がする。

なんにせよ、真実は”分かりません”。

最後、レナの利き腕が変わった?

※2018年4月28日に「べりあ」様より頂いたコメントを基に追記

序盤でのグラスの持ち手、銃の構え方、ワニからDNAを採取する時に右手を使っていた等の事実から、レナが右利きであることが分かる。
しかし、最新の時間軸である尋問シーンでは、レナは左手でグラスを持って水を飲んでいる。

このことから「レナはやっぱりコピーされたのでは?」と推測できる。

作中で登場したエイリアンは、レナをコピーする際「ユニゾン」ではなく「対比」で動きを学習していた。
よって本作で登場するクローンは、オリジナルから見て鏡向きである可能性が高い。

そう思いながら改めて本作を見返してみた。
確かにレナは左手でコップを持っている・・・。

が、これもまた単純な話だが、サイドテーブルがレナから見て左側に置いてある。

尋問中のレナ。コップを置くテーブルが左側にある
尋問中のレナ。コップを置くテーブルが左側にある

自分から見て左側にしかグラスを置けないなら、左手でグラスを持つ方が自然だ。
これをわざわざ右手で取りに行くのはおかしい。

個人的には、これは”構図”の問題だと思える。(撮影上の話)
レナの右側にテーブルが置いてあったら、視覚上少し狭苦しく感じる。

もしくは「レナがコピーかもしれない」という”可能性”を残しておくために、ガーランドがわざと「左利き風の装い」を仕組んだのかもしれない。
どちらにせよ「レナがコピーかどうか」については作中で答えられてないので、本作の謎のひとつだ。

べりあ様、重要な情報を当ブログに残してくださり本当にありがとうございます。マジで面白かったです。心から感謝しています。

各シークエンスごとに見出しタイトルを魅せる演出

 

脚本に関する考察では無いのだが、本作では各セクションごとに「シマー」だとか「灯台」だとかのキャプションが表示される。

最近の映画ではこのような演出は無い。
僕が知っている限りでは、「2001年宇宙の旅」でこの演出が使われている。
もしかしたら昔の映画の定番なのかもしれないが、古い映画はそう見ていないので僕は分からない。

もしかしたら、2001年宇宙の旅への影響も表しているのかもしれない。

【95点】「アナイアレイション -全滅領域-」評価と感想 – まとめ

アナイアレイションは本当に面白かった。
ラストがスッキリしないところもあるが、それはSFとして定番でもあるのでこちら側で推測するしかない。

トレイラーの段階でも軽く触れられていたが、「シマーの中では気がふれて疑心暗鬼になる」という描写もある。

嬉しい誤算だったが、登場人物たちがただガムシャラに殺し合うシーンというのは無い。
個人的に、急に登場人物の一人の頭がおかしくなって殺し合いになる。などと言う展開になればガッカリしていた。

しかし気が触れるのはアニャの一人だけで、しかもそれも「レナが2度も嘘を吐いた(と思ってる)」という動機があってのことなので、そこまで支離滅裂な出来事ではない。
鑑賞者もちゃんと付いて行ける運び方なので一切置いて行かれることが無い。

また、本作のおもしろさは当記事で語りつくしたが、個人的に「サンシャイン2057」と似通っている部分があるように思えてそこにも好感が持てる。

サンシャイン2057は、活動停止しかけた太陽を再燃させるため、核弾頭を撃ち込みに8人のプロフェッショナル達が太陽に近づく映画だが、「各分野の専門家が目的地に近づく」という箇所と、「前任の部隊がある」というところが同じである。

また、哲学的メッセージが垣間見れるところも似ている。

 

ちなみにサンシャイン2057はダニーボイル監督作品で、脚本は本作の監督であるアレックスガーランドが担当している。

最初の方でも書いたが、ベネディクトウォンも出演している。

最後、”ヴェントレス博士が破滅した後の光輝く物体を見つめる”レナなんかは、核融合のど真ん中にいて、その美しさに恍惚とするキャパ(キリアンマーフィー)の構図と凄く似ていた。

僕はイマイチ良く分からなかったが、序盤ではレナにタトゥーは入ってなかったが、それが最新の時間軸のシーンでは右腕に入っていたりなど、ミステリアスなギミックもあるので、他の考察記事を読んでみるのも面白い。

また、本作はインターステラーにも似ている。
「ひょんなこと(実際には全然ひょんじゃない)な事から主人公が危険地帯に踏み入るミッションに参加する」
という点だ。

また、「シマーという未開拓地帯に入る」という点とインターステラーの「ワームホールに突入する瞬間」が少し似てるように感じた。

しかしその演出方法は全く異なった。

インターステラーでは、ワームホールへの進入は凄く激しく、ゴテゴテした演出だった。
しかしシマーへの進入は凄くあっさりだった。

 

だとするとバッドエンドだし、「地球侵略」という設定はなんか一気に軽くなった気がする。

しかもその後も、「内部での変化」を冒頭で見せつけるのかと思ったら、なんと一泊した後のシーンへと移り変わったのだ。

しかしこれは上手いミスリードで、「シマーに突入後、全員3日間の記憶がない」という状況だったらしい。

今はネットフリックスでしか配信されていないが、ブルーレイが出たら監督のコメンタリーや特典映像もしっかりと楽しみたい。

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18 件のコメント

  • 聞き手の話ですが、最初から間違っている気がするんです。

    もし鏡になっていたなら時計を身に付けてる手がおかしいと思いませんか?そして私はコップが左側に置いてあったら左手で取ります。
    もし彼女が右側にコップがあったら右手で取るはずです。
    なのでそこの理由からクローンと考えるのは、あまりに単純過ぎるかな?と思っていました。

    そして最後の問いについてですが、レナは本物のレナと私は考えています。
    もし焼け死んだレナが本物のレナなら、エイリアンの姿になったのは何故か?そこの説明がつきません。

    • kk 様
      コメントありがとうございます。

      僕の感想文をお読みいただきありがとうございます。
      映画を見終えた段階でほぼ何も分からなかった状態から、
      いろいろ考察し、頂いたコメントや他ブログ様の考察を参考にし、
      気付いたことをまとめたのが当記事になります。

      kk様がおっしゃる通り「徹底解説」であれば、専門的知識に長けたプロフェッショナルが執筆すべきでしょうが、
      当記事のタイトルは「徹底考察」なので、そこまで踏み外してはいないかと思います。

      アナイアレイションは凄く好きな作品なので、もし誤情報的なのがあれば是非ご指摘くださいね。

  • 考察楽しく拝見させていただきました!
    レナのタトゥーの件ですが、元々はプールの死体の腕のタトゥーがどんどん移動したようですね!

  • 不倫相手が黒人であるというのも語弊を恐れずに言えばそうだし、ルックスも夫であるケインの方が明らかに上だ。

    語弊を恐れずにといっても、差別的で不愉快です。
    ルックスも明らかに上だからみたいにいっていますがそこの見解はとても個人的なものに思え不要だと感じました。

    • Riri 様
      コメントありがとうございます

      不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。
      全て個人的見解ですので、要所要所で気になる部分もあるかと思いますが、
      個人的にそう感じたので、そのまま書かせて頂きました。

      しかしもっと柔らかい書き方の方が確かに良いと思いますので、考え直してみますね。

  •  これのテーマは結構単純な気が・・・
    最後に行き着いた灯台は明らかに男性器の形で監督の見せたいテーマがここら辺ではっきりしている。
    灯台の中の変な白い模様はもちろん精子だし、あの穴は女性器。
    穴の中は子宮を表しているし、光と消えた博士は受精した卵子。
    そして、生まれてきた生物は新しい生命体となる。
    まぁ結局の所「2001年宇宙の旅」のOP部分のテーマと一緒。
    出てきた博士に合わせて木のようなオブジェが燃えるのも単一の生命が勝ち残り進化を得たっていうのを表しているくだりもほぼ同じ。
    2001年のほうが人間の進化の先のAIとの勝ち残りを描いているぶん一歩先の未来なので、このテーマも今更のような気がする。
    モノリスで他の生物よりも進化して宇宙に出た人類という「2001年」で印象的だったOP部分を丁寧に描いた作品と観るべきなのかな。
    もうちょっと新しい事に挑戦して欲しかったと思う作品だった。

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    この記事をこねた人

    名前:ぱっかん(@pakkan316
    洋画めっちゃ好き

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    「内省」という資質に優れており、それを活かした映画系の記事が得意。
    →「当ブログ」と「ぱっかん」について

    「ぱっかんブログ」という雑記ブログで、映画やら何やらと色々書いてましたが、映画記事数が増えたのでそれを「ぱっかんシネマ」として立ち上げました。
    洋画ホラー、サスペンスが好み。あとスローモーションになった時に流れる「ドゥーン...」という効果音も好き。

    こういう曲を作ったりしてます↓

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